2020年4月1日より全面施行される改正健康増進法。病院や飲食店などの施設の種類、あるいは飲食店なら床面積や業態などにより細かく区分され、また、紙巻きタバコと加熱式たばこも区別され、それぞれ喫煙可能なエリアが法律で細かく定められている。
健康増進法の施行から先、日本のたばこ市場は一体どうなっていくのか。2019年9月某所で行われたブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(以下BAT)の新商品発表の記者説明会に、そのヒントを求めた。
世界のたばこトレンドと加熱式、電子式の現在
そもそも加熱式たばこと電子タバコでは方式が異なる。
加熱式たばこ※1……たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで煙を発生させるもの。
※1 厚生労働省HPより
電子たばこ※2……たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内の液体(リキッド)を電気加熱させ発生する蒸気(ベイパー)を愉しむ製品。
※2 日本たばこ産業HPより
アメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局)が加熱式たばこに消極的だったが、2019年5月に初めて加熱式タバコのアイコス(IQOS)が承認された。ヨーロッパでも販売が始まり、日本では許認可が先行してさながら世界の実験場の様相を呈していたが、潮目が変わってきた。
一方、アメリカでは電子たばこの使用によるものと思われる死亡者が出るなど、原因を調査中ではあるがまだまだ揺れている面がある。
メーカーごとに目を向けると、フィリップモリスは将来、紙巻きたばこの全面廃止を目指すのに対し、BATは紙巻きたばこと加熱式たばこの両方を展開していくと表明しているなど、温度差がある。
BATは、紙巻きたばこ、加熱式たばこ、ハイブリッド加熱式たばこの3本柱体制でニーズの多様化を捉えようとしている。2020年に「日本の喫煙環境は変化する」とし、「消費者に複数の選択を提供し、たばこの変革を加速。環境の変化を契機とする準備ができている」と宣言するなど、改正健康増進法を契機と捉え、来る変化の時代に対応しようとしていることが伺える。
また、健康意識に高まりに応えるため、PRRP(健康リスク低減の可能性を秘めた製品)のアピールに余念がなかったのも、今回の記者説明会で目立った大きな特徴だった。