協会に反旗を翻した選手側につく所属チーム関係者の1人は怒りを募らせながら、こう言った。
「岡本さんは副会長として協会のナンバー2のポジションにいるが、あくまでも〝お飾り〟。何の発言権もないです。これまでも幹部に選手側の要望を細かく伝えてきたが、いつも『真摯に受け止める』と言われるばかりで右から左だった。今回の協議会後、金原会長もメディアの前で選手の要望について『真摯に受け止める』と言っていますが、あれは岡本さんに対して口にする常套句とまったく同じです。岡本さんは犠牲者と言っても過言ではないでしょう。
シドニー五輪で銅メダルに輝き、テコンドーの国内普及に大きく貢献したヒロインなのだから、本来ならば協会のトップになるべき人です。ところが結局は協会を牛耳る〝ネクタイ組〟に都合のいいように利用され、風当たりが強まっても『岡本が副会長をやっているんだからいいだろう』と防波堤のような役割に据え置かれていた。なぜ、こんなことになってしまったのか・・・本当に悲しいです」
今月8日に行われる予定の理事会で協会側は再度、改善策を話し合うとのことだが、正直に言って着地点は見出せそうもない。東京五輪まで300日を切った今、選手たちに残された時間は限られている。
スポーツ庁長官や五輪相はなぜ動かないのか
それにしてもスポーツ界を揺るがしかねない、こんなゴタゴタが起きているというのにスポーツ庁長官や東京オリンピック・パラリンピックの担当相は一体何をやっているのだろうか。「こういう時に動かなければ、要職に就く意味がないのでは」「問題解決のために政府として救いの手を差し伸べてほしい」などといった悲痛な叫びは、今回の問題で決起した選手サイドや関係者たちからも数多く耳にする。都合のいい楽な仕事ばかりするのではなく、東京五輪にも悪影響を及ぼしかねない問題の解決に腐心しながら努めてほしいと切に願う。
日の丸を背負って戦おうとしているテコンドーの代表選手たちの苦難は想像以上だ。この現状にもし目をそむけているのなら、大層な冠がつけられた長官も担当相もさっさと職を辞するべきである。