論争の焦点は2つ。まず「婚外者による性行為」(刑法417条)で婚姻関係にない2人の間での性的関係は法律違反となり、最高で1年の禁固刑が科されるというもの。
もう1つは「婚姻関係にない者同士の同棲」(刑法419条)で、これに対しても6カ月という最高刑が待ち構えている。
こうした条文は現行の刑法でも一応規定されているが、改正案では417条、419条ともにこれまでの「配偶者による通報」だった必要条件が「配偶者に加えて親権者、子供の通報」までに拡大されることになるという。
こうした新刑法の内容がニュースなどで伝えられると、「この条項の対象に外国人居住者や外国人観光客は含まれるのか」を巡る議論が日本を含めて沸騰しているのだ。
というのも外国人同士あるいは外国人とインドネシア人の男女で婚姻関係にないにも関わらず同棲して継続的に性的関係を結んでいる人々、1夜限りの性的関係を持つ人々にとっては、そうした行為が通報で「刑法違反容疑」に問われる危険性が現実問題として出てきたからである。
心にやましい思いを抱いていたり、「よからぬこと」を目的にインドネシアに来ようとしていたりする外国人にとっては「犯罪者になるかならないか」という差し迫った問題がつきつけられそうになっているのだ。
世界的観光地バリ島が敏感に反応
日本以外にもオーストラリアなどの一部報道が「バリ島での婚外性交が禁止される」「バリ島のホテルでは宿泊者の男女に婚姻証明書の提示が求められる」などと今回の刑法改正案については伝えられた。
世界的観光地でもあるバリ島を訪れるオーストラリア人は年間約100万人と観光産業に大きな貢献をしていることから、オーストラリア人の関心も高く懸念が広がったのだ。