米軍の普天間飛行場(2016年6月17日、写真:UPI/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 トランプ大統領は、前回の大統領選挙期間中から、アメリカの同盟諸国、とりわけドイツと日本は駐留米軍関連費用の負担を大幅に増加すべきであるという、いわゆる「安全保障ただ乗り論」を有権者に訴えていた。大統領就任後もトランプ大統領は「ただ乗り論」に固執している。

 そして最近は、「アメリカの同盟諸国は、これまでどおりにアメリカ軍の駐留を維持してほしければ、米軍駐留経費の全額はもちろん、その半額をプラスした米軍駐留関係予算を負担すべきである」という「総経費プラス50%論」を唱え始めている。

トランプが好む「ただ乗り論」

 トランプ大統領は、大統領に就任してからも、ことあるごとにドイツの「ただ乗り論」を口にし続けている。実際にドイツは駐留米軍関連費用の30%未満しか支出していない。そのため、トランプ大統領に限らず米軍関係者にも、ドイツをはじめとする西ヨーロッパ諸国に対して「総経費プラス50%論」はともかく、少なくとも米軍駐留経費に対する負担を増やすべきだとの意見を口にする人々は多い。

 ところが日本に対しては、経済的負担増を求めるトランプ政権のトーンは控えめになっている。なぜなら日米同盟に造詣の深い軍事専門家たちの間から、「日本は条約上の義務を上回る諸経費を負担しており、ドイツやヨーロッパ諸国と違って米軍駐留費用の70%程度を支出している」という現実が指摘されているからだ。

 しかしながら、ドイツや日本をはじめとする「裕福な同盟諸国」に米軍駐留費用の増額を求めるのは、トランプ大統領が選挙期間中から現在に至るまで持ち続けている基本方針であり、日本に対してこの基本方針を捨て去ったわけではない。