昭和31年、家庭のオムライスに入っていたご飯は?

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(10)オムライス

2019.08.23(Fri)三保谷 智子

 筆者も含め、オムライスはある年代以上の人には郷愁を抱かせる料理のようだ。筆者の学生時代の先輩で70歳になる男性は、ファミリーレストランに行くと必ずオムライスを注文する。それはチキンライスにたっぷりのとろとろ炒り卵がかかり、その上からさらにドミグラスソースがたっぷりかかったもの。いかにも幸せそうにオムライスをほおばる姿が好ましい。いつか、そのエピソードを聞いてみようと思う。

中は塩味の白い洋風炊き込みご飯――昭和31年

1956(昭和31)年4月号「栄養と料理カード」。計量スプーンの表記が「油1.5大さじ」「塩1/3小さじ」と逆転。翌年には通常表記に戻っているので、試行錯誤の結果か。
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 この時代のカードは1色刷なので色が分からないが、中のご飯はトマト味ではなく、塩味のハムライスとなっている。洋風炊き込みご飯を「バランシェンヌ・ライス」と明記している。

 この炊き込みご飯を作るところから始まる。具は、玉ネギ、ニンジン、グリーンピース、ハム。それぞれみじん切り、色紙切り、湯通しをし、5mmあるいは7mm角に切る。厚手なべに油を熱して玉ネギとニンジン、洗って乾かしておいた米を炒め、ブイヨン(水+味の素の代用も可)を注いで、煮立ったら弱めの中火で炊く。ハムとグリーンピースを加えて手早く混ぜて火を消して蒸らす。1人分のご飯は140g見当。応用材料には生ザケ、マス、ヒラメ、貝類などの魚介類があるのに少々驚くが、野菜類ではシイタケや竹の子を挙げている。

 卵は1人分1個見当。割りほぐして油、塩、こしょうで調味する。卵液に油を加えるのは、油にはライスを包みやすく、つやよく仕上げる役割があるからと説明がある。1人分ずつ作るほうがおいしいともしている。

 鉄製フライパンが主流の時代、フライパンの油ならしも必要だ。油大匙(さじ)1を入れて煙が立ったら油を空ける。溶き卵を一度に入れ、全体に流して火にかけ、真ん中が半熟状になったら中央にハムライスをのせ、フライパンを傾け、箸で卵の手前と向こう側をかぶせて下にずらす。フライパンの柄を右手で握って皿の中央にあけ、ふきんをかぶせてオムレット形に整える。

 以上の言葉を目で追っていても、作ったことのない人には理解できないだろう。親切にも、同号ではこれら一連のフライパン作業を口絵ページに写真入りで順を追って解説しているのだ。そのページも見てみよう。

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