広がり続ける格差。しかしながら、それが外見からは見えにくい現代社会。20、30代女性5442人への調査から、現代女性のSNSとアプリの利用実態と格差の関係を、社会デザイン研究者の三浦展氏と政策・メディア博士の天笠邦一氏が徹底分析した。(JBpress)
(※)本稿は『露出する女子、覗き見る女子』(三浦 展・天笠 邦一共著、ちくま新書)より一部抜粋・再編集したものです。
階層意識を現すSNS
三浦 展氏(以下敬称略):どういうSNS、アプリを使うかはかなりその人の階層意識と関連している。ということは、年収、学歴、職業、結婚、幸福度、生活満足度などとも関連しているはずである。
ざっくり言えば、露出するべき何か(豊かな暮らしとか美貌とかスタイルの良さとか)を持った、少なくとも一見すれば幸福そうな女性たちが自分を露出し、それらをあまり持たない女性は自分を露出せず、露出する人々を覗いたり、単に読書、鑑賞、検索をしたりしているのである。
利用するSNSやアプリでこういう多様な女性像が浮かび上がるとは私は当初はまったく思っていなかった。何しろスマホの中のことなので、外から観察しても人が何に関心を持っているかわからない社会になった。
だが考えてみれば、スマホがほぼ100パーセント普及し、多くの人が多様なSNSを使っているのだから、人間の多様な類型に即して多様なSNSの使われ方があるのは当然なのだ。