2017年4月に予定されている消費税の10%への増税。先日、財務省が軽減措置としてマイナンバー制度の活用を検討している、というニュースが流れました。
確かに、軽減税率の設定とは違い、小売業側の煩雑な事務手続きが省略されるメリットはあります。
しかし、マイナンバー制度を実際に運営するには、3000億円程度をかけて環境を整備する必要があるとのこと。そこまでお金をかけて軽減措置が必要な増税は、何のための増税なのか理解に苦しんでしまいます・・・。
消費税増税の大きな一因になっている、未曾有の高齢化社会の到来。年金や医療費、介護に必要な社会保障給付の急激な伸びが、財政を圧迫していることは、周知の事実です。
まる子の爺さんのような老後は送れない
その高齢者社会の異変を取り上げたのが、『下流老人』(藤田孝典著、朝日新聞出版)。
例えば、アニメの「ちびまるこちゃん」でお馴染みの友蔵じいさん。子ども家族と同居し、趣味の俳句を楽んだり、まる子に何かをせがまれては、年金で買ってあげようとしたり。そんなふうに、のんびりと平穏に余生を暮らす――日本の高齢者のイメージを友蔵じいさんに重ねて見る方も多いかと思います。
しかし、現在の日本では、友蔵じいさんのような悠々自適の老後を送ることが難しくなってきました。アパートの家賃が払えない、医療費が払えず通院できない、何日も食事をとれていない・・・。
著者は、埼玉県を中心に、生活困窮者支援を行うNPO法人の活動に携わっており、貧困問題を抱える多くの高齢者の相談を受けてきました。