昆虫よりもウニのほうがヒトに近い生物である理由

生物進化を食べる(第2話)棘皮動物篇

2019.05.31(Fri)大平 万里

「大爆発」の時期に、ヒトやウニの原型が登場

 では、原始的な動物から、いつ頃の時点で新口動物や脱皮動物は枝分かれしたのであろうか。

 実は現在地球に存在する動物の大きな分類群のほとんどは、なんと約5億4000万年前にはすべて出そろっていたらしい。そして、前回のシアノバクテリアが登場した27億年前からコツコツと種類が増えていったというよりも、5億4000万年前の周辺で一気に動物の種類が増えたようなのである。この急激に動物の種類が増えた出来事は、その地質時代の名前をとって「カンブリア紀の大爆発」とよばれる。

 カンブリア紀の大爆発で生まれた動物群のボディプランは実に多種多様だ。残された化石を見ると、それこそ人間の想像をはるかに超えたものばかりであったようだ。想像を超えているので、部分的な化石で見つかっても当初はどういった全形の動物かまったく見当つかないものもあった。たとえば、アノマロカリスなどは、完全な化石が発見される前には、その部分化石がクラゲやナマコの化石と間違えられていたことさえある。

カンブリア紀の大爆発から後に棲息していたアノマロカリスのイメージ図。19世紀にはすでに部分化石から存在が知られていたが、全体像が再検討され定められたのは1980年代のこと。

 いってみれば、カンブリア紀の爆発は、さまざまなボディプランの試作品が大量に作られた時期ともいえる。そして、ヒトを含む脊椎動物の原型や、無脊椎動物であるウニの原型も、その時代に登場しているのだ。

 しかし、それら試作品のほとんどはすでに絶滅してしまった。現在の地球に存在する(広い意味での)動物たちは、カンブリア紀の大爆発以降、運と適応力で勝ち抜いてきた百戦錬磨の強者たちなのだ。無論、ウニもヒトもその強者の一群である。

「幼なじみ」の友として

 ただし、ウニとヒトがいくら似ているといっても、カンブリア紀の大爆発の時点ですでに共通の祖先から枝分かれしているわけで、少なくとも5億4000万年前にはウニと脊椎動物は、それぞれ完全に別の道を歩み始めたということもできる。

 もっとも、カンブリア紀の大爆発直前にはウニと脊椎動物の祖先はたがいに切磋琢磨する同志であったはずだ。つまり、まったく違う方向へ枝分かれしていた昆虫やタコに比べれば、いまは姿形こそ違えど、私たちヒトとウニとは同じ幼稚園出身の朋友のような存在なのだ。

 それにしても、食べものとしてのウニはやはり珍味の域を出ない食材である。これは運動性が低いゆえに筋肉が発達していないことが大きく関わる。そもそも、いくらウニが大好物だと言っても、ウニだけで満腹になっていては痛風になりそうなので、やはり肉が食べたいところである。

 では、筋肉が発達するというのは、どういった方向の進化なのだろうか。次回はそれを紹介してゆこう。

第3話へつづく)

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