昆虫よりもウニのほうがヒトに近い生物である理由

生物進化を食べる(第2話)棘皮動物篇

2019.05.31(Fri)大平 万里
ウニの幼生の姿。

 そして、発生が進み孵化したウニの幼生の姿は明らかに左右相称であることが見てとれる。この左右対称の幼生から、底着生活に適した五放射相称へ大人になるにつれ変化してゆくのだ。

 そういったことはウニと同じく新口動物に属するホヤなどにもいえる。ホヤもまた幼生と成体がかなり違う動物である。魚市場に並んでいるホヤは、どう見ても木の瘤のような見た目で、まったく動く気配もないから、ウニに負けず劣らず動物らしくない。

 しかし、ホヤの幼生はオタマジャクシのような姿で、左右相称であるばかりか、なんと背骨の原型ともいえる「脊索(せきさく)」という構造があり、魚のように泳ぐのだ。幼生の形態的な類似性のほかにDNAの分子的系統から見ても、ホヤはウニよりもヒトに近縁な動物であることが確かめられている。

魚市場などで見られるホヤ。刺身や缶詰加工品などの食材になる。

 一方、放射相称の典型的なものとしては、たまに酒の肴にもなるクラゲがいる。刺胞動物という分類群に属している動物だ。クラゲは発生過程も含めて正真正銘の完全な放射相称の動物である。つまり、左右相称の動物よりもクラゲはボディプランが単純なより原始的な生物なのだ。

 このように動物の系統は、成体の見かけだけではなく、その発生様式や遺伝子の類縁性などを加味して総合的に考えなければならない。つまり、「氏より育ち」ではなく「育ちより氏」なのである。

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