前回のコラムが公開された後、とても「よい」読者の反応を目にしました。
「もし、イスラムのアザーンがポリフォニーの源流になるのなら、最初から輪唱のような 同じメロディを模倣するカノンで始まらなければおかしい。でも実際の原始ポリフォニーはそんなふうにはなっていない・・・だからこのコラムはおかしい」
とてもよい、典型的な「創造的誤謬」と思いましたので、大学のゼミやレッスンでも取り上げさせてもらいました。
このところ、小中学生向けのプログラミング教育などが進み、形式にとらわれる人が増えたためでしょうか。
こうした、よく言えばシンプルな、しかし実は短絡的な誤解が学生によく見受けられます。とても典型的なので、この誤謬を奇禍として、続編を始めたいと思います。
上の意見は「イスラムのアザーン」というものが、同じものであるという前提に立っています。すなわち、前回記した「アザーン(adhān)」
Allah u Akbar, Allah u Akbar, Allah u Akbar !
(アッラーは偉大なり)
Ash-hadu alla ilaha illallah, Ash-hadu alla ilaha illallah
(アッラー以外に神はなしと証言する)
これを文字だけの知識で理解できたと勘違し、こうした誤謬が発生するわけです。私自身も思えば、中学高校生時分にはこうした間違いをたくさん犯しました。
アザーンというものが現実にどんなものであるか、全く知らずに、文字面だけ見て誤解していることに気づいていないから、そうなるわけです。