ところが今回の日米首脳会談では、米側メディアに批判的論調はみられない。安倍首相とトランプ大統領の緊密さを、むしろ安倍首相の外交手腕の成果のように前向きに伝える報道がほとんどだった。

なぜここまで親密なのか? 4つの要因

 では、なぜ日米両首脳はここまで緊密な間柄となったのだろうか。

 両首脳が緊密になるためには、個人レベルでウマが合うこと、国家同士が良好な関係を保っていること、といった条件をクリアする必要があるだろう。いくら個人的な関係がうまくいっていても、その関係は周囲の外的要因によって突然変わりうる。また「個人」といっても、その土台にはそれぞれの国家が存在する。個人同士の相性とともに、国家同士の関係の質こそが、首脳同士の関係を大きく規定するというわけだ。

 こうした諸条件を考慮したうえで、安倍・トランプ両氏の親密さの理由を考えてみよう。少なくとも4つほどの要因が挙げられる。

【1】安倍首相の一貫したトランプ支持

 第1の要因は、安倍首相の一貫した努力である。

 この努力は長期で一貫した綿密な計算に基づいてきたといえよう。安倍首相が2016年11月、選挙で当選したばかりのトランプ氏をトランプタワーに訪ね、最初から親しく懇談したことは広く知られている。しかもこの会合は安倍首相にとって、各国指導者たちのなかで最初の次期米国大統領との顔合わせとなった。

 安倍首相はトランプ大統領が就任してからも、節目節目でトランプ政策支持を表明し、同大統領と顔合わせの機会を持つことの継続を怠らなかった。トランプ大統領に対しては、米国内でも日本国内でも非難めいた論調が多い。そのなかで、安倍首相は公式、非公式の場でトランプ支持を鮮明にしてきた。日本側のいわゆる識者たちがトランプ叩きをエスカレートさせ、大統領を非難していた時期にも、首相はトランプ支持の姿勢を変えなかった。こうした動きは当然トランプ大統領のもとにも届くこととなる。