(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)
4月25日、金正恩委員長とプーチン大統領の初顔合わせとなる露朝首脳会談が、ロシア東部ウラジオストクで行われた。プーチン大統領はその夜、中国・北京に向かって発った。同地で開催されている一帯一路フォーラムの会合に出席するためだ。
他方、残された金正恩委員長は、そのままさらにウラジオストクで2泊し、27日に帰国の途につく予定だった。しかし、異変が起きた。首脳会談の翌26日午後、予定を前倒しして帰国してしまったのだ。
まず、金正恩委員長はその日の朝、午前10時に予定されていた戦没者慰霊碑での献花式に、時間になっても姿を見せなかった。ロシア側は受け入れ態勢を整えて待機していたが、いったん撤去した。ロシア側には事前に通知されていないことだった。
結局、金正恩委員長は予定から2時間遅れて到着し、献花の儀式は行った。しかし、その後に予定されていたバレエ鑑賞などのスケジュールはすべてキャンセルし、帰国を1日前倒しして帰国してしまったのだった。
早く帰りたい・・・金正恩委員長はおそらく、今回の首脳会談に失望していたのだろう。
もっとも、首脳会談の冒頭は、そんな雰囲気でもなかった。遅刻常習者のプーチン大統領にしては珍しく先に会談会場に到着し、笑顔で金正恩委員長を迎えた。両首脳は、友好的な雰囲気で会談に臨んだ。
現地時間の午後2時過ぎから始まった会談は当初、両首脳だけで行われた。当初の予定は50分間だったが、約2時間に及んだ。その後、閣僚を含めた拡大会合が約1時間半行われ、さらに約1時間半の夕食会に臨んだ。