当初、1936年に完成したクイーンメリーが最大であったが、ノルマンディーが改造により大型化し、クイーンメリーを抜いている。
そして、1940年に完成したクイーンエリザベスがノルマンディーを抜いて世界最大の客船となった。
これら3隻は戦艦大和をしのぐ規模を誇っていた。
戦艦大和の満載排水量は7万2000トンであったが、これら3隻の排水量はいずれも8万トンを超えていた(商船のサイズは普通総トンで表すが、排水量でも8万トンを超えていた)。
これらの巨大客船は、幅でこそ戦艦大和の38メートルには若干及ばず35から36メートル程度であったが、長さは戦艦大和の263メートルに対し、310メートルから314メートルと50メートル近く長かった。
戦艦では水面上に出る部分が比較的少ないのに対し、客船は水面上の構造物が大きい。並べてみれば、この3隻の巨大客船は大和よりも圧倒的に大きく見えたはずだ。
大和は確かに戦艦としては世界最大最強であったが、船舶としては当時も最大ではなかったのである。
もっとも、商船の積載量や乗客はサイズが大きいほど増えるので大きいことは重要である。
一方、戦艦はサイズを競うものではなく、同じ戦闘力であれば小さい方が望ましい種類の船舶である。
これら豪華客船はサイズだけでなくスピードも驚異的であった。戦艦大和の最高速度は時速50キロ。一方、これら3隻の場合、巡航速度が55キロ程度もあった。
一見、5キロしか違わないように見えるが、最高速度は短時間しか出せないのに対し、巡航速度はそのスピードで出発地から目的地まで航行する速度である。