いつ頃、何が分かるのか

 史上初の小惑星衝突実験。いつ頃、何が分かるのだろう。まず、4月5日実験当日に分かるのは、SCIが分離されたか否か、探査機の状態が正常かどうか。一方、SCIが正常に起爆し、リュウグウに命中したか、その結果どんな物質が巻き起こったかについては、分離カメラの映像が届くまで分からない。「カメラ画像が4月5日中に届くかどうかは約束できない」(久保田氏)とのこと。

 リュウグウにどんなクレーターができたか、その詳細観測は4月22日の週に行われる予定だ。リュウグウ上空約1.7~2kmからはやぶさ2が観測を行い、衝突実験前の3月末の画像と比べて変化を抽出する。

 もしクレーターができ、はやぶさ2が着陸できるような状態だと判断すれば、5月に着陸する可能性がある。しかし「人工クレーターを作るのが成功の基準であり、内部の物質を採れるかどうかは相手次第。2月のタッチダウンの映像は(大量の物質が浮遊し)衝撃的で、慎重にならざるをえない」(久保田氏)、凸凹が多く、平らなところがなければ着陸しない可能性もあるという。

 衝突装置が分離したらもう、止められない。40分間で小惑星の横をすり抜け、探査機は安全に退避できるのか。ハラハラドキドキの壮大な実験が3億km彼方の小さな天体で行われようとしている。「小惑星にクレータ(穴)をあける前に、私の胃に穴があきそうです」(佐伯氏、ISASニュース2019年1月号より)。

 新たな探査の領域を切り拓けるか。世界初の実験が成功するよう見守りたい。

はやぶさ2の降下を見守る津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネジャー(中央)。(提供:JAXA