中小企業にありがちな「問題社員」には、もう一つ典型例があります。仕事をしない、会社の批判をしたり、周囲と上手くやれないお局さんケースです。

 周りからは、「あの人がいるとやりにくいんだよな」と言われていたり、部下をつけるといじめて辞めてしまうということも起きます。特に事務部門で長く勤め続けているお局さんは、社内で絶大な発言力を持つようになります。時には社長に直接不平不満をぶつけてくる強者もいます。

経営者は腹を括って対応を

 同時に問題なのは、こういう人たちは自分で仕事を抱えこんでしまい、ブラックボックス状態にしてしまいがちということです。

 社長はお局さんについて、「アイツがいないと会社が回らないんだ、だから辞めてもらっちゃ困るんだ」ということで、問題があってもあえて見て見ぬふりで、辞めさせることには及び腰になりがちです。ところが、実は簡単にできる仕事を、無自覚のうちに複雑化していることも少なくありません。最新のソフトやサービスを利用すれば、低コストでスムーズにすむ仕事が、非常に高コストで複雑な仕組みで進められていることもあるのです。

 こういう人は自分の仕事を「これは私しかできない」と言って他人に教えず、わざとブラックボックスにしていきます。そうやって自分の立場を強固なものにしようとしているのです。

 しかし、こうしたお局さんはやっぱり組織のがん細胞です。社内への影響力も無視できません。引継ぎが上手くいかなくて一時的に業務が混乱することがあったとしても、こういう人間には一刻も早く辞めてもらわなければなりません。

 問題のある社員には、ストレートにいかにその人が周囲に悪影響を与えているか、いかに会社の期待に応えられていないかを説明します。こういう人たちは自分が正しいと思っているので遠回しに言っても、気づかず、自分が悪いとも思いません。だからストレートに伝えた方が良いのです。

 だいたい、お局さんが社内で幅を利かせるようになるのは、社長や上司が「あいつを怒らせたりすると面倒臭いから放っていた」というのが原因であるケースが多いのです。ここでまた「面倒だからいいや」で済ませてしまっては、事態は何も解決しません。

 中小企業が生産性の向上を図るためには、例え仕事ができたとしても、周囲に悪影響を及ぼし、全体の生産性を低下させている問題社員を何とかしなければなりません。

 実はコレが働き方改革の前に大切なのです。職場における人間関係の良し悪しも少なからず生産性に影響を及ぼします。

 もしも自分の会社に「問題社員」がいるようなら、社長は腹を括って臨まなければなりません。がん細胞はひとりでになくなることはありません。放置すればますます増長し、他の社員にも転移してしまうかもしれません。早い段階で取り除けるかどうかは、社長の覚悟次第と言えるでしょう。