(鶴澤翔子・ライフコーチ)

 NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』が、いよいよインスタントラーメン開発のエピソードに突入しました。

『まんぷく』は、インスタントラーメンの発明を成し遂げる夫婦の物語です。物語のモデル、安藤百福さんがチキンラーメンを発明し日清食品を創業したのは1958年、48歳のとき。ドラマのヒロイン福子(安藤サクラ)と夫の萬平(まんぺい・長谷川博己)も波乱万丈、紆余曲折を経て、満を持してのラーメン作りに奔走しています。

 インスタントラーメン開発のエピソードに入ってから、福子のサポートの仕方が変化していることに気付きます。福子自身が動くよりも、とにかく萬平の話を聞いているのです。福子はただ話を聞いているだけですが、それによって萬平は、自信を取り戻し、アイデアを具体化し、そして次の一歩となるきっかけを見出します。

 話を聞くことは簡単そうでいて、高い技術が求められます。萬平に変化を起こす福子の話の聞き方にも、そんな「聞く技術」が隠されています。福子の聞き方にはどんな秘訣があるのでしょうか。また、それは萬平にどんな影響を与えているのでしょうか。話を聞くことでクライアントに変化を起こす専門家である、コーチの視点から分析します。

「見守る」福子への変化とその背景

 萬平が塩や栄養食品を作っていた当初、福子は自ら大阪商工会の会長に出資を依頼に行ったり売り子になったりと、第一線で活躍していました。

 しかしインスタントラーメンの開発では、研究所にこもっている萬平を窓の外から見守ったり、疲れて煮詰まっていそうなときにさりげなく声を掛けたり、たまに麺やスープの味見をして感想を言ったり。常に付かず離れずの距離から応援している、そんな様子です。

 年齢を重ねて落ち着いたこともあるかもしれませんが、この変化にもっとも影響しているのは萬平に対する信頼感ではないでしょうか。