十分に話させる

 話を聞いていると、つい何かアドバイスしたくなったり、自分の話をしたくなったりしてしまいます。しかし、効果的に話を聞くためには、さえぎらずに最後まで話させてあげることが非常に重要です。

 たとえば、萬平が福子と会話しながら、新しいラーメンに求める5つの条件を揃える場面。福子は短い相槌でリズムを持たせながら、萬平の話を最後まで引き出しています。この場面のセリフのやり取りを引用してみたいと思います。

萬「福子」
福「はい」
萬「今うちは貧乏だ。テレビも冷蔵庫も洗濯機も無い」
福「ありません」
萬「でも三種の神器が全部揃っている家は、まだそんなに無いだろう」
福「そうですね」
萬「冷蔵庫が無い家も、たくさんあるはずだ」
福「うん、そう思います」
萬「だから、僕が作るラーメンも、冷蔵庫が無くても常温で保存できるものでなくちゃいけない」
福「保存できる」
萬「これが、第4の条件だ」
福「なるほど」
萬「まだある。今日お前は、たかちゃんに卵を持っていったよな?」
福「はい、たかちゃん喜んでくれました」
萬「妊婦には栄養をつけさせなきゃいけない。体によくないものは絶対にダメだ」
福「そうです」
萬「これは子どもでも一緒だ」
福「はい」
萬「つまり、これから僕が作るラーメンは、妊婦や子どもが安心して食べられる、安全な食品でなくてはならない」
福「安全な食品」
萬「うん、これで条件が全部揃った」
(『まんぷく』第96話)

「はい」や「うん」だけでなく、いろんなバリエーションで相槌を打っていることが分かります。ずっと「はい」と言われていると、「話を早く終わらせたいのかな?」とか「聞き流しているのかな?」と思わせてしまいます。これもちょっとしたテクニックです。