米国とメキシコの間に作られた国境の壁を車で乗り越えようとする人まで(米税関・国境警備局提供)

 メキシコ国境の壁は本当に必要なのか――。

 米国では何十年も前から議論されているテーマである。今回はこのテーマに真正面から取り組んでみたい。

 昨年12月から続いた米連邦政府機関の閉鎖は一時的に解除されたが、きっかけは壁だった。

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)はもちろん壁建設の賛成派で、民主党を代表するナンシー・ペロシ下院議長(以下ペロシ)は反対派の急先鋒である。

 いまは2月15日までのつなぎ予算でしのいでいるが、両者が2月中旬に再び激突する可能性は高い。最近の両者の言い分は以下の通りである。

 1月23日のツイッターでトランプは「壁を作れば犯罪は減る」と断言。28日のツイートでも次のように述べている。

 「壁を作ろうとしないのは愚か者だけ。壁があることで犯罪や麻薬、人身売買を防ぐことができる。いつの時代でも壁で防げる」

 壁を建設することこそが問題解決に必要とする論理展開は、2016年大統領選の時から変わっていない。