現場を最もよく知る米税関・国境警備局の警備員に、偏ることなく率直な意見と現状を語ってもらうことが何よりかと思う。
取材をすると、ほとんどの警備員は壁の必要性を認めていた。壁がなければ、より多くの不法移民が越境することは間違いないと言う。
カリフォルニア州とメキシコ最北部ティアナの国境から内陸に約30キロの場所で警備にあたるパトロール隊員が語る。
「もし壁がなければ現在のように効果的な警備はできないでしょう。フェンスがあることで確実に不法移民は足踏みをするのです」
壁があっても乗り越えたり、切れ目を見つけたり、トンネルを掘ったりして越境してくる入国者は後を絶たないが、遮るものがなければ不法移民数は計り知れないのだ。
車ごと国境を越えるツワモノ(冒頭の写真)もいるが、壁によって子ども連れの家族などは諦めざるを得ないこともある。
一方で国境を越えた不法移民はほとんど場合、国境警備隊によって拘束される。彼らは拘束される運命をよく知っているという。
子ども連れであれば約20日の拘束で解かれる。しかも彼らは米国内で解放されるのだ。パスポートを持たない彼らは難民・亡命の申請をして難民キャンプで待つことになる。