足首にGPSを装着されるが、待ち続ければ米国内で生活できる保証が得られる。

 例えばホンジュラスでギャングに暴行を受けて生命の危険を感じた女性であれば、ほぼ間違いなく待つことを選ぶという。

 「麻薬の密売人の多くは陸路ではなく海路で米国内に麻薬を持ち込みます。ですから港湾での警備が重要になります」

 壁建設では麻薬密輸を防ぎ切れない。この点でトランプの意図は外れている。

 全米国境警備隊評議会のブライアン・ジュッド会長も壁建設には前向きだ。

 「昨年、警備隊員のアンケートを行い、約700人から回答がありました。9割が『要所に壁を建設することは必要』と答えたのです。しかし壁によってすべての問題が解決しないことも理解しないといけません」

 米国とメキシコの国境は3145キロ。すでに1000キロ強には何らかの壁・フェンスがある。カリフォルニア州、アリゾナ州、ニューメキシコ州のほとんどの地域にはすでに壁がある。

 人間も車両も全く通過できない壁もあれば、自動車の通過阻止を目的とした柵のようなタイプもある。そこでは人の行き来ができるところがある。