中国は共産党一党独裁体制であるため、国民全体による共産党に対する安定的な支持確保が政権安定の基盤となる。
共産党員は1億人に満たず、その十数倍が非党員の一般国民である。
現在国民の大多数が共産党による統治体制を受け入れている実質的な主因は共産主義のイデオロギーに対する支持ではなく、共産党政権が的確な経済政策運営により中国経済の長期持続的発展を実現してきたことにある。
もし中国経済が長期にわたって深刻な停滞に陥れば、共産党に対する信認が揺らぐことは言うまでもない。
もし信認を維持できなくなる場合には、共産党指導層が得ている様々な特権が剥奪される可能性が高い。これは指導層の本人のみならず、その家族、親戚すべてにかかわる切実な問題となる。
このリスクの深刻さを考慮すれば、こうした将来リスクを回避するために現在取り組み中の改革推進を最重視せざるを得ない。
中国の軍事力が長期的に米国に追いつかなくても共産党の存立基盤にはほとんど影響しないが、国内経済が不安定化すれば深刻な内政問題を引き起こす。
中国の共産党・政府指導層がどちらを重視するかは明らかである。