2.中国は国内改革最優先

 このように米国にとって中国の脅威が今後長期的に高まり続けるのは不可避であり、その脅威を少しでも抑制するために今後も中国に対して様々な圧力をかけ続けていくものと考えられる。

 一方の中国は米国が考えているほど米国の一極覇権主義体制に挑戦しようとしているわけではないように思われる。

 というのは、中国自身は目下深刻な問題を国内に抱えており、米国に対抗してグローバルな安全保障戦略を展開するどころではないからである。

 中国は従来から地方政府が脆弱な税収基盤を補うため不動産開発によって収入を得て、それをインフラ建設などの財政支出の財源に充当してきた。

 しかし、この地方財政の構造は行き過ぎた不動産開発を招き、それがバブル崩壊や不良債権問題の温床となるリスクが高い。これらのリスクが表面化すれば長期経済停滞に陥ることは不可避である。

 この構造欠陥を修正するために、現在中国政府は地方財政改革と金融改革に取り組んでいる。

 本来この改革は10年以上前から着手すべきだったが、改革の副作用がもたらす景気後退リスクが大きいため、ずっと先送りされてきた。

 習近平政権はその難題克服を目指して今年から本格的に改革推進に取り組み始めた。

 それにより今年の夏場以降、予想通り経済が減速し始めたが、それでもなお改革最優先の方針を変えずに決然とした姿勢で改革に取り組み続けている。

(詳しい内容については11月の筆者記事参照=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54687

 どうしてそこまで無理をして改革に取り組まざるを得ないのだろうか。