中国は米国の同盟国ではなく、政治体制まで異なる、安全保障面で完全に独立した存在である。

 そのうえ、中国の経済力は年々米国に近づいてきており、このまま10年程度中国経済が緩やかで安定的な減速局面を続ければ、2030年頃には中国のGDPが米国とほぼ肩を並べる可能性が極めて高い。

 2040年頃には中国経済の規模は米国を逆転し、世界一の経済大国の地位を固めている可能性も十分ある。

 経済力が高まればそれに比例して軍事力も高まることは自然な結果である。

 中国の軍隊は戦争における実戦経験が乏しいため、たとえ経済規模が米国に追いついたとしても、実質的な戦闘能力の差はそう簡単には縮まらず、米国の軍事力がその後も長期にわたって優位を保ち続ける可能性が高い。

 それでも、米国にとって中国の経済力・軍事力の拡大は確実に脅威となる。

 これが米中関係のベースの部分を規定するため、米中関係は今後長期的に緊張関係が続くことを覚悟せざるを得ない。

 今回のファーウェイの事件はそうした緊張関係が生み出したものであり、今後も長期的に続く緊張関係の中で類似の事件が繰り返される可能性が高いと考えるべきである。