話す、語るが理解へのクッションとなる
本当は、これら一つ一つにも正解はないものだと思います。知ったような、分かったような人はいるけど。
そこから一歩を踏み出す大事なことが「自分のものになる」ということだと思います。つまり、サッカーを見るにしても、サッカーを教えるにしても、サッカーを伝えるにしても、知識として得た見方や教え方、伝え方を、自信を持って「自分のもの」に加えていくまでの作業が必要だということです。
そのための作業が「やってみる」ですが、そこにすぐに辿り着ける人は限られているはずです。その前にワンクッション必要な人がほとんどで、そのワンクッションこそが「話す、語る」という作業なのではないか、と考えついたのです。
「こう思うんだけど実際どう思う?」
「私もそう思う」
その会話ひとつで、自信が生まれ、スッキリすることって多い。
「いや、俺はこう思う」
そこから始まる議論で、その知識が深まり、”自分なりの色”を濃くしていくのだと思います。
現役を引退し、これから私が目指していくことのひとつはそういう場所づくりです。ただの相談所では意味がありません。それを、サッカーを深く語りながら、分かりやすく置き換えていきながら、実現できないか。
これが今回の私の「やってみる」。うまくいくかは分からない、これこそ挑戦です。
会話には参加できないという方にも、サッカーを見る上、選手を見る上で参考になる言葉が並ぶテーマを二つ用意しました。
一つは「サッカーがうまい」とは?
もう一つは「世界のサッカー」とは?
それをピッチレベルに置き換えながら語っていけるように努めます。これをみんなで”深く、かつ、分かりやすく”の中で進めていけば、それが日本サッカーの観戦法や指導法の基準を揃えていくことになる。ひいては、日本のプレー原則をみんなで議論して定めていき、それが「日本サッカーのスタイル」を確立していくことにつながる。
そんな壮大なことまで考えています。全ては、参加された皆さんと作り上げていきます。
サッカーは選手がしています。
ピッチで行われています。
サッカーはピッチレベルでしか語れるはずがないのです。(『PITCH LEVELラボ』創刊準備号より再構成)