ナチスの犯罪を再び取り上げたオライリー氏

 今回のBTS騒動の背景には恐らく、ブレナン氏の指摘するアジアにまかり通っている「ナチス無知シンドローム」がありそうだ。

 欧米では今なお、「ナチス・ハンチング」(ナチスの犯罪者捜索作戦)は現在進行中だ。米国内では保守、リベラルといった政治スタンスとは無関係に有無を言わせぬくらいのナチス観が定着している、学校でも徹底的に叩き込まれる。

 いかなる理由があれ、ナチスは許されないのだ。

 13歳の時に両親とともに米国に移住した韓国人大学生は筆者にこう述べている。

 「韓国ではナチスとかホロコーストのことなど学校で学ばなかった。米国に来て学校では耳にタコができるほどナチスの戦争犯罪について教えられた」

 中間選挙を終えて、政治の季節が通り過ぎた今、ベストセラー争いのトップに躍り出たのが、書けば必ず売れる保守派テレビの司会者兼作家のビル・オライリー氏の新著だ。

 タイトルは『Killing the SS: The Hunt for the Worst War Criminals in History』(ナチス親衛隊をせん滅せよ:史上最も極悪の戦争犯罪者を追いかける)だ。

 同氏が毎年のように上梓してきた『Killing』シリーズの第12冊目だ。同氏はナチスについて2015年にも1冊書いている。

 その時のタイトルは『Hitler's Last Days:The Death of the Nazi Regime and the World's Most Notorious Dictator』(ヒトラー最後の日々:ナチス政権の死滅と世界最悪の独裁者の死)。これもベストセラーになった。

 本書は、この本の続編だ。イスラエル政府をはじめ欧米諸国政府が血眼になって探している「ナチス残党捕物実録」とも言える。