その際には、雑誌側が直ちに謝罪したものの許されず、編集部全員の『洗脳教育』(つまりホロコーストの事実を徹底的に頭に叩き込めという思想教育)まで課された。
最終的には同誌は廃刊に追い込まれた。今回のBTSのケースとは大きな違いがある。
米国で一応不問に付された理由は何か
その理由は何か。これまでナチスに関する報道を研究してきた主要シンクタンクの研究員の一人は筆者にはこう指摘している。
「泣く子も黙るSWCが、BTSの出した1通の謝罪書簡で怒りの矛先を収めた理由は何か。BTSが世界のアイドルだからか」
「国連ユニセフに巨額の寄付(2017年には反暴力キャンペーンのために140万ドルを寄付)をしているからか。あるいは国連親善大使だからか」
「おそらく、それらすべてを総合的に勘案したからだろう」
「ネオ・ナチスの動きは欧米で今や顕在化している。万一、BTSにかつて日本の雑誌にやったような『洗脳教育』でも強いれば、バックファイアが起こりかねない」
「もともとアジア諸国と欧米とではホロコーストに対する一般庶民の認識には大きな隔たりがある」
「それを今回蒸し返えせば、『歴史戦争』ににまで発展する可能性もあったはずだ」