ローソク集会の立役者

 このとき、「ローソク集会」で最も組織的に動いたのが民主労総だった。その結果、生まれたのが今の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権だ。

 だから、民主労総には「政権交代の最大の功労者だ」という強い自負がある。

 文在寅政権内部や与党内にも労総運動出身者が少なくない。そのため、できるだけ労組の意見も聞き入れてきた。

 例えば、文在寅政権発足後、公共部門での非正規職の正規職転換が進んだ。すでに15万人以上の非正規職の正規職転換が決まった。

 週52時間労働時間制の導入も決まった。さらに最低賃金も2年連続して2ケタ引き上げた。

 こうした政府の対応を見て、民主労総も、2018年夏頃までは、行動を自制していた。蜜月期間だったと言える。

 ところが、経済は一向に良くならない。労組への批判も強まる一方だ。そこで、徐々に変化の兆しが出てくる。

 非正規職の正規職への転換は進めるが、子会社で雇用しよう。

 最低賃金の引き上げペースの速度調整が必要だ。

 週52時間労働制は維持するが、弾力労働時間制を導入して、経営側の裁量を拡大しよう。