加えて、日本が独立国家であるからには、対米自主性が必要である。在沖縄米軍が事故を起こしても、日米安保に基づく地位協定によって、日本政府のコントロールが効かない。
横田基地に通じる航空機管制も同様であり、静内(北海道)では米空軍機の超低空飛行で、競走馬の被害がしばしば起きた。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)でも日本は米国に翻弄され、今では日本に2国間協議を強要しかねない状況である。
米国という国家に品格がないと言えばそれまでだが、国家の力関係、中でも日本の安全は日米同盟によって保障されており、特に核兵器において然りであり、致し方ない面がある。
しかし、ドイツやイタリアは自国の主権を保持した地位協定を結んでおり、米軍が勝手に訓練などができる環境にはない。
独伊同様の地位協定への突破口を開くためにも、米国に対し日本の地勢を戦略的に高く評価させると同時に、ある程度の焦りを持たせる戦術も必要となる。
大袈裟に言えば、米国を一瞬慌てさせるような日本の対中姿勢は、日本が独立国である意思の対米示唆であり、米国に「そうだ、日本は独立国家だ」という意識をもたせる側面効果もあるであろう。
郵政民営化は日本の主導性で進められたのではなく、米国が改革リストで示したものであった。この一事からも、米国は日本を従属国のように見る傾向がある。
ズビグネフ・ブレジンスキーがずばり、「ひ弱な花・日本」と表現した通りで、米国には「保護国」としか見えていないのだ。