ロシア「日本への迎撃システム売却は条約違反」 米を非難

ルーマニア・デベセルの軍基地で行われたイージス・アショアの配備式典に出席する米軍兵士ら(2016年5月12日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / DANIEL MIHAILESCU〔AFPBB News

真実を見極めることの大切さ

 防衛省は平成31年度予算でイージス・アショアの導入に着手する。北朝鮮や中国の弾道ミサイルなどへの対処の必要性からである。

 北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射試験などを繰り返し、いまにも日本が弾道ミサイルの攻撃に曝されるのではないかという緊迫した状況の中で導入決定(2017年12月末の閣議)が行われた。

 そうしたことからイージス・アショアの防衛対象は北朝鮮の核弾道ミサイルだけであるかのような錯覚を国民に抱かせた。

 半年後の2018年6月12日に米朝首脳会談が実現し、北朝鮮が核実験やミサイル発射をしていないことなどから、一部のマスメディアなどは「脅威はなくなった」と喧伝し、導入に疑問を呈し始めた。

 また、配備先とされる山口県や秋田県からは、しっかり説明をしてほしいという要望も聞こえてくる。

 このようは報道に接して国民の心が揺れるのも致し方ない。政府は十分説明してこなかったが、実際は北朝鮮よりも中国の配備済みの核・弾道ミサイルの脅威の方が何十倍も何百倍も大である。また極東ロシア軍の脅威も潜在的に存在する。

 しかし、日中・日露間に多くの問題を抱えており、問題を複雑にしないことや外交的配慮などから、ほとんど中露の「弾道ミサイル」の脅威を語ってこなかったのだ。

 従って、北朝鮮が実験などを差し控えているから、イージス・アショア導入の必要性はないという提議は近視眼的な見方であり、全く的外れである。

 そもそも米朝首脳会談後の北朝鮮の動きを見ていても、用廃となった施設などしか破棄リストに挙げていない。

 現実は核兵器と弾道ミサイルの開発を継続しているという情報もあるくらいだから、イージス・アショア配備の必要性は軽減していない。