鈴木さんはTATERUからアパートを計2棟購入しているが、両方とも購入時に同じことを言われ、団信に入らなかった。しかし、団信に入らなければ、鈴木さんが倒れた場合、家族に大きな負担がかかってしまう。鈴木さんにそうしたリスクが生じることを把握していながら、TATERUは高額な不動産を販売し続けていたようだ。

 日経新聞に報道された事例では、西京銀行側が改ざんに気がついたので実際には融資は下りなかったという。だが、そもそもTATERUは、2017年3月に西京銀行が実施した第三者割当増資において100万株の第三種優先株を持つ西京銀行の株主になっている。さらに2018年3月には「不動産投資型クラウドファンディングの共同事業化の業務提携検討に関する基本合意書を締結」するなど蜜月の仲にあることは間違いない。

 TATERUの急成長の裏で、自己資金の少ないオーナーを狙った不適切融資が横行していたのだとすれば、第2のスルガ銀行問題につながりかねない。見かけの利回りに惑わされ売買契約をしてしまった賃貸オーナーの元に、実態と乖離した収入しか産まない物件が多々あるとすれば、それが破綻したとき契約者たちはどうなるのか? 今も時限爆弾が静かに時を刻んでいる。