世界最強の攻撃原潜、アメリカ海軍シーウルフ。現在の中国海洋戦力の最大の弱点は対潜水艦戦能力である(写真:米海軍)

「中国のハワイ」と呼ばれる海南島の三亜市郊外に、中国海軍が電波科学の研究施設を建設しようとしている。

 その施設の中心的設備は「高出力非干渉性散乱レーダー」(HPISR)と呼ばれる装置だ。HPISRは、米国のアラスカ州にある「HAARP」(高周波活性オーロラ調査プログラム)という設備と類似している(下の写真)。HAARPは、アメリカ海軍と国防高等研究計画局(DARPA)がアラスカに建設したものの軍事利用にはあまりにも莫大な予算を必要とするため、現在はアラスカ大学が純然たる科学研究目的で使用している。

HAARP(写真:アラスカ大学)

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 中国のこの高出力非干渉性散乱レーダーの建設に対して、アメリカ海軍をはじめとする潜水艦専門家たちから警戒の声があがっている。

陣容が固まりつつある中国の「積極防衛戦略」

「積極防衛戦略」(米軍などでは「接近阻止領域拒否戦略」「A2/AD戦略」と呼称している)を推進している中国人民解放軍は、南シナ海や東シナ海といった中国の沿海域だけでなく西太平洋に接近してくるアメリカ軍艦艇や航空機を撃破する態勢を着々と固めつつある。