「あのときは浮かれていたのですが、販売資料の表面利回りには、小さく『消費税額及び諸経費相当額を控除した金額で算出』と書かれていました。担当者は利回りの高さを説明していただけで、こうした細かい説明はしてくれませんでした。

 物件価格から控除されていた額は消費税256万円、諸経費1025万円です。内訳は外構・地盤工事代、造成工事、上下水道工事、建物追加工事などで、安全対策費も諸経費として扱っているようでした。もともと附帯工事費とされるものを諸経費に組み込むのは、表面利回りを良く見せるための手段のようで、私はそれに騙されてしまったというわけです」

TATERUと交わされた契約書などの一式。7.11%の表面利回りなど、投資家に希望を持たせる内容の事業計画書も確認できる
鈴木さんが結んだ契約関連書類。契約時には、利回りの高さばかりが強調され、リスクに対しての説明はほとんどなかったという

乖離する事業計画と実績

 鈴木さんは「この土地にアパートを建ててみてはどうでしょうか? と最初に言われたときは、嬉しかった」という。TATERUから「新築1年目であれば入居者が殺到し、退去も少ない」という説明も受け、期待に胸を膨らませた。

 しかし、ふたを開けてみると、話とは大違いだった。「入居後2カ月で退去する入居者もいて大変でした」。

 鈴木さんはTATERUから受け取った事業計画と実績を1年経って比較してみた。結果は、計画には遠く及ばず、年間収入は計画を62万円以上も下回る結果となった。年収400万円の鈴木さんにとって、7000万円を超える借金を抱える中、年間収支が60万円以上も下ブレたことがどれだけショックであったか想像に難くない。