広島土砂災害、死者39人に 不明者7人の捜索続く

防衛省統合幕僚監部(Joint Staff)が公開した、広島県広島市の豪雨による土砂崩れ現場で生存者の捜索活動を行う自衛隊員らの様子(2014年8月20日撮影)。(c)AFP/JOINT STAFF〔AFPBB News

 北村淳氏が8月16日付のJBpressに、「米戦略家たちの常識は『陸自は縮小が必要』」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53821)という論考を発表しています。

 北村氏は、JBpressに毎週のように投稿していて相当の影響力がある方であり、私も同氏の米海軍関係の論考の愛読者の一人です。

 しかし、今回の論考はあまりにも杜撰で問題が多く、陸上自衛隊出身の私としては黙って見過ごすわけにはいきません。

 現在、我が国における安全保障論議の中で「陸自縮小論」は影を潜め、「陸自活用論」が主流になっていますが、その観点で自らの意見を述べたいと思います。

北村論文に対する素朴な疑問の数々

・北村氏は、「生かされていない教訓『陸戦は避けよ』」と記述し、「“陸上での防衛戦”を前提としてはならない」と主張していますが、不適切です。

 これは、自衛隊の任務と米軍の任務の違いを無視した議論です。

 米軍と自衛隊は、その置かれた環境の違いのために、全く違った性格をもった組織です。米軍は、典型的な外征軍であり、米国領域外で作戦することが基本であり、米国本土が戦場になることを徹底的に避けます。

 そのために、米軍においては「外敵の軍事的脅威は海洋で打ち払わなければいけない」というわけです。

 しかし、自衛隊は米軍とは全く違う組織であり、遠征軍ではありませんし、領土・領海・領空を防衛することを主とする極めて防勢的な組織です。