習主席、南シナ海での譲歩拒否 米国防長官と会談

中国・北京で、ジム・マティス米国防長官(右)を出迎えた魏鳳和国防相と儀仗兵ら(2018年6月27日撮影)。(c)AFP PHOTO / POOL / Mark Schiefelbein〔AFPBB News

ロシアと中国による「ハイブリッド攻撃」
「グレーゾーンの戦い」の脅威

 ユーラシア大陸の東西で、「力による現状変更」の動きが進行している。

 東は中国による東シナ海・南シナ海での海洋進出の先鋭化であり、西はロシアによるクリミア半島併合と東部ウクライナに対する軍事介入、そして冷戦以降で最大となっているロシア国境沿いでの軍備増強と活動の活発化である。

 いずれも領土的野心があからさまで、厳重な警戒が必要である。

 時期を同じくして2つの事態が進行しているのは、決して偶然ではない。背後に、日米欧と比較して「異質な国家」である中国とロシアの特性がうかがえる。

 両国は、有史以来、皇帝による強権支配(専制君主制)が続き、これまでに民主主義を経験したことがない。

 またともに、共産主義革命によって国家を転覆させ、共産党一党独裁に移行した歴史があり、その理論や手法は今でも体制維持や対外活動の基底となって働いている。そのうえ、中国は、「孫子の『兵法』」の忠実な実践者でもある。

 それらを背景として、両国があたかも連動するかのように展開しているのが、いわゆる「ハイブリッド攻撃」であり、「グレーゾーンの戦い」である。

 NATO(北大西洋条約機構)・EUでは、2014年、ロシアがクリミア半島併合とウクライナ東部への軍事介入に際して行った、特殊部隊や民兵の展開と宣伝戦などを組み合わせた新たな戦い方(戦法)を「ハイブリッド攻撃」と呼んでいる。

 この新戦法は、「影の攻撃」などとも呼ばれる。

 大規模な正規軍を国境付近に集結させて圧力をかけながら、標識をつけない特殊部隊や民兵を送り込んで官庁などの要所を占拠し、プロパガンダやフェイクニュースによる世論操作・選挙介入を行う。