「炎と怒り」の向こうを張った内幕物と期待されたが・・・
ドナルド・トランプ米大統領のホワイトハウスの内幕を書いた本でベストセラーになったのは、マイケル・ウルフの「Fire and Fury」(「炎と怒り」)だ。日本でも翻訳されて飛ぶように売れた。
この本のお陰で大統領の側近中の側近だったスティーブ・バノン首席戦略官兼大統領顧問の首がすっ飛んだ。
この本の主要なニュース源はバノン氏と言われている。
大統領の逆鱗に触れたのはバノン氏が大統領選挙中に大統領の長男、ドナルド・ジュニアがロシア人弁護士らと会っていた事実を知ったバノン氏が「この売国奴が」と激高したという箇所だったとされる。
さすがに自分の息子を「売国奴」と言われたのでは大統領も我慢できなかったからだ。
しかしこの本、確かに話題になったが、本に書かれていることがどこまで本当のことなのか、今もって疑問視されている。
理由は2つあって、一つは著者がメディア業界では「取材力よりも想像力が豊かだ」という評判。
いま一つはバノン氏以外、ニュース源があいまいなことだ。実はいないのではないか、という声すら聞こえてくる。「想像力のたまもの」というわけだ。
「気に入らないことがあると即座に首を切るトランプ大統領の下で働くスタッフがウルフなんかにホワイトハウスの内実をしゃべるわけがない」(ホワイトハウス詰め記者)
確かにありそうな話の満載だが、事実関係の確認のしようがない。