トランプ氏、元補佐官を「犬」呼ばわり 暴露本出版で火花

米国の首都ワシントンで、教師や学校関係者、保護者との会合で話すドナルド・トランプ大統領の後ろに座るオマロサ・マニゴールト氏(2017年2月14日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News

司法取引で元顧問弁護士は「完落ち」

 ドナルド・トランプ大統領は、8月22日、自分を裏切った顧問弁護士のマイケル・コーエン被告に「話をでっち上げた」と激しく罵った。

 コーエン被告が前日の21日、ニューヨーク連邦地裁の陪審で「トランプ氏と交際関係にあったポルノ女優らに口止め料を払うよう命じられて政治資金を流用して払った」と証言したからだ。

 過去10年近くトランプ氏の「懐刀」として顧問弁護士だった同氏が、手がけてきた民事案件で知らないことはない。祖父はホロコーストの生き残りだった。

 昨年9月には「トランプ氏を守るためなら銃弾を受けても構わない」とその忠誠ぶりを示してきた。

 だが、検事からこのまま刑が確定すれば、「懲役10年、全財産没収」だと脅されて、あっさり刑の軽減を条件に司法取引に応じて「本当のこと」を喋った。「親分」を裏切ったのだ。

「みな使用人が勝手に忖度」で逃げ切れるか

 トランプ大統領は政権の閣僚も補佐官も顧問弁護士もみな「使用人」とみなしている。

 コーエン被告が「トランプ氏の指示で選挙資金を流用して口止め料を支払った」と宣誓して証言したのに対し、トランプ大統領はサラ・ハッカビー・サンダース報道官にこう言わせた。

 「コーエンが有罪を認めても大統領の関与を意味するものじゃない」

 「使用人」が勝手にやったことで俺はあずかり知らぬことだ、というわけだ。つまり日本でも一時流行った「親分の考えを忖度した」ということだろう。

 日本ではごまかしとおしたが、米国ではその論理が通るかどうか。