日本人は大昔から、ずっと仕事とプライベートを分けずに生きてきました。大和朝廷の時代、役人は1年のほとんどを労働に当て、農民は季節の移り変わりとともに生き、プライベートなどほとんどありません。これを落合氏は「東洋的」だとしています。ですから、もともと日本人にはワークとライフを分ける働き方は向いていないということなのです。

 落合氏はまた、ワークライフバランスと謳っておきながら、「22時で強制的に残業禁止になる」など、企業がいまだにタイムマネジメント中心で回っていることを批判しています。本来はタイムマネジメントのほかに「ストレスマネジメント」の必要性があると述べており、うつ病にかかる人が多いのは、このストレスマネジメントが社会的に機能していないからだと主張しています。

【4位】『SHOE DOG(シュードッグ)』(フィル・ナイト著、大田黒奉之翻訳、東洋経済新報社)

SHOE DOG(シュードッグ)』(フィル・ナイト著、大田黒奉之翻訳、東洋経済新報社)

 ナイキ創業者のフィル・ナイト氏による自伝。スタンフォード大学経営大学院在学中から日本の運動靴に興味を持ち、その後オニツカ(現・アシックス)製品のアメリカでの販売権を獲得。仲間を増やしながら自社ブランドを確立し、事業を成功させていく筆者の生涯を描いています。もちろん、主人公がキャンパスに偶然いた女子学生に、ナイキのロゴのデザインをお願いしたというあの有名なエピソードも登場。ナイキの歴史を知りたければ極めつけの1冊です。

[本書のまとめ]

 結婚、出産、訴訟、株式公開など、筆者の波乱万丈な人生を送りつつもアメリカンドリームを叶えていく筆者。その試行錯誤は、読み物として面白いだけではなく、1つのことに情熱を傾け続ける大切さを教えてくれます。「懸命に働けば働くほど、道は開ける」という言葉からは、勇気と自己肯定感を得られるはずです。