今回のW杯開催期間中、中国企業による広告支出は8億3500万ドル(約910億円)で、2位の米国(4億ドル)や開催国のロシア(6400万ドル)をはるかに超える規模で、その筆頭がワンダだった。

 中国のコングロマリット(巨大複合企業)であるワンダは金融、インターネット、文化、商業の4大企業のほかに、上述のようなスポーツ、さらにはハリウッドの映画会社を買収するなど映画製作や不動産業の事業を世界中で展開してきた。

 中国人民解放軍の軍人だった王氏は、大連で不動産会社を起業し、急成長する中国経済による不動産バブルなどで資産を拡大。

 総資産は約260億ドル(約3兆円。中国の長者番付で3位のアリババ創業者、ジャック・マー氏に次ぐ4位の富豪。2017年末米フォーブス誌発表)とされている。

 ランカウイ島で計画されている一大複合施設の大開発は「トロピカーナ・チェナン」プロジェクト。

 (マラッカ海峡に繋がる)アンダマン海を臨む同島一等地で最も賑やかな観光メッカ、パンタイ・チェナン・ビーチ沿いに建設される超高層高級マンション(サービス・レジデンス)2棟(40階建のタワーAとタワーB)と5つ星のラグジュアリーホテル(350部屋収容)だ。

 しかも、同不動産は「フリーホールド(Freehold)」で、土地と建物所有権が、永久的にオーナーに所属することになっている物件だ。

 マレーシアの大手不動産開発会社「トロピカーナ」傘下の「チャナン・リゾート」と中国の建設業界大手の「神州長城(本社・北京)」が共同開発し、ワンダグループの「ワンダ・ホテル・アンド・リゾーツ」がマネジメントを担う。

 全体の敷地面積は約5.3ヘクタール、総工事業費約20億リンギ(約560億円)で、2022年末の完成を目指している。

 その中でも、ワンダ・グループが中心になって手掛けるのは、グループ傘下で中国最大の5つ星ホテルマネージメント会社「ワンダ・ホテル・アンド・リゾーツ」が運営・管理するラグジュエリーホテル「ワンダ・レルム・レゾート・ランカウイ」。

 同グループ傘下のワンダ・レルムのブランドホテルが展開されるのは東南アジアで初めてだ。