世界のジェットエンジンを乗っ取りつつある日本

 世界のジェットエンジンは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)、プラットアンドホイットニー(PW)、英ロールスロイス(RR)の3社が君臨する世界である。

 残念ながら、日本はこれらの航空エンジン大手と異なり、日本企業ブランドのジェットエンジンを作れていない。

 しかし、航空エンジン大手のジェットエンジンは、日本製部品、日本の技術が使用されている。そうした例は枚挙に暇がない。世界のエンジンの内部を日本勢が乗っ取りつつあるように見えなくもない。

 日本の重工各社が、GE、プラットアンドホイットニー、ロールスロイスのエンジンの開発・生産に関与している。成田空港や羽田空港にいるような飛行機のエンジンは、10~20%が日本製である。

 例えば、日本航空が使用するボーイング「787」の「GEnx」では、高圧コンプレッサーや低圧タービンなど、日本勢が15%以上を製造する。

 また、エアバス「A320」やボーイング「737」の新型に搭載される「PW1100G」では、低圧コンプレッサー、燃焼器、ファンケースなど23%を製造する。

図3 川崎重工製A350用トレントXWBエンジンの中圧コンプレッサー(出所:川崎重工ウエブサイト) 日本の重工各社は世界のジェットエンジンの分担生産に参加している。

 これら部品の多くは、開発コストや生産能力の分散の側面が強く、日本でなければ作れないというものばかりではない。

 しかし、ジェットエンジンのタービン、コンプレッサー、ファンをつなぐシャフトのように日本のIHIが優位性を持つものもある。

 特に難易度の高い長さ3メートルを超えるシャフトの世界シェアは70%である。

 そのシャフトを支えるベアリングも日本製が増えつつある。NTNは近年、PW1100Gと「Trent-XWB」のシャフト用ベアリングを受注している。

 PW1100Gはプラットアンドホイットニー社で最も多く生産されるエンジンであり、トレントXWBもロールスロイスの主力大型エンジンである。

 シャフトの素材も日本が強みを持つ。