一方で、世界水準の戦闘機エンジンを誕生させたXF9-1回初は快挙であったものの、実用エンジンというよりも試作エンジンであるに留まる。
XF9-1が追いついたように見えるF-22用のF119エンジンは30年前に開発されたエンジンである。
XF9-1が実際の飛行機を飛ばすまでには道のりが長いだろうし、その機会があるかすら確定的でない。また、仮にXF9-1のコア部分を利用した旅客機用エンジンを作るとしても、XF9-1で戦闘機を飛ばすよりもハードルが高い。
ファンや低圧タービンの開発が必要であるし、民間機としての認定取得には三菱航空機の「MRJ」同様に苦労するだろう。さらに、その先、売れる値段で作れるか、実績に乏しい日本のエンジンが売れるかという難題が立ちはだかる。
XF9-1によって、日本がジェットエンジンを世界に売っていけるようになったかというと、そうではない。さすがに、これで日本が世界のジェットエンジン一流国になったと言うのは今のところ言い過ぎである。
しかし、日本のジェットエンジン産業が着実に実力をつけつつあることは事実。XF9-1は日本のジェットエンジン技術発展の一つの大きな到達点であろう。今後の発展が非常に楽しみである。