図2 ぶら下がり、追い込み、追い出しの違い

 ぶら下がり指定した場合、句読点は下に出てしまいます。マンガでいうとコマから外に出ちゃうということで、この行と次の行のつながりがすごく悪くなる。しかも下が揃わないから気持ち悪い。ゴミみたいですし。

 追い込みは行全体で字間を詰めて句読点を行末に入れる方法。その行が1文字多くなるので、隣の行との間で文字に段差ができてしまう。のみならずその行だけ字間が詰まって密度が濃くなる。これ、かなりツライですね。ページを開いたときに、その行だけ目立っちゃうんです。別に大事なことが書かれているわけでもないのに、その行だけ時間の密度が濃くなってしまうわけですね。まあコンマ数秒の差なんですけど。

 追い出しは逆に句読点の前の1文字ごと次の行へ持っていきます。持っていっちゃった行は1文字足りなくなるから、ちょっとずつ字間が空いてスカスカになります。特にその行にひらがなが多い場合は、いいかげんにしろというぐらいスカスカで、やる気のない行に思えちゃう。

 追い出し、追い込み、ぶら下がりはみなさん普通に使っています。どの本にもあります。でも僕は廃止するようにしています。句読点が行頭に来ないように書けばいいだけですから。

 ただ、行の一番下に句読点が来てしまうのもあまり良くないですね。句読点の後に改行ですから、同じ段落なのに次の行が独立している(別の段落になっている)ように見えてしまいます。1文字増やすか減らす形で調整しないと、意味は通じていてもばらけて感じられる。改行の一行前だと左下が欠けて見えてバランスが悪いですね。段落の最後以外、行末には句点が来ないようにしています。

 もう一つ、文頭に拗促音(「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」など)も来ないようにしています。このルールは禁則事項になっていることも多いですが、うっかりすると自動で字間が詰まったり空いたりしてしまうこともあるので、禁則にせず、気をつけるようにしています。

書名に「文庫版」が付いている理由

 作品が最初に雑誌に載るときは雑誌の組みで書きますが、単行本にするときは組みが変わってしまいます。全部直さなければいけないので、すごく面倒くさいんですね。