かねて日韓米は国連・各国と連携し、あらゆる手段で北朝鮮の核ミサイル開発放棄を追求してきたが一向にその効果は上がっていない。
世界最強の軍事力を誇る米国の最高指揮官であるドナルド・トランプ大統領は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と言い、片や独裁的指導者・北朝鮮労働党委員長金正恩は「机の上に核兵器の発射ボタンが置いてある」と豪語し、一触触発の事態も憂いられてきた。
そうしたなか、平昌五輪への北の高位級代表団の訪韓に対する韓国大統領の親書携帯の答礼代表団の平壌派遣に、北は最高の冷遇で接した。
対話期間中の核実験は行わない
金委員長自ら会談し内容不詳ながら合意(来月の南北首脳会談実施・体制保存が保証されれば核保有の理由はない・対話間核実験は行わないなど)したと報じられた。
これは今日まで米日韓などの対話と圧力(経済的外交的制裁)がようやく功を奏し始めためなのであろうか。
米国政府は好意的な反応を示しているようだが、一方でトランプ大統領は「対話は核廃棄が前提で我々はいくつもの準備をしている」と語り、今後の成行きは予断を許さない。
従って、今次の対話が思わぬ成果を生み危機打開につながり、世界中の誰もが望む話し合いでの解決が実現し、莫大な人的物的被害の生ずる軍事衝突が回避できれば勿怪の幸いである。
しかし、目下の情勢では不幸にも軍事衝突が生起する可能性を全く否定することはできないだろう。
それは、北は相当な効果を上げつつある制裁圧力を脱するため、微笑み外交で米国の攻撃を回避し、世界の制裁を緩和させ、日米韓の連携を分断、韓国の経済支援を獲得しようと画策しているのが透けて見えるからである。微笑み外交はトロイの木馬の危険性がある。
また、対米交渉では対等の立場で体制維持の保証を獲得せんとして韓国駐留米軍の撤退(これはハルノートで米国が日本に中国大陸からの全面撤退を突きつけたことに対比できよう)・国交の正常化を求めるだろうが、これも容易でないからである。