10回目のFONOPを実施した米海軍駆逐艦「マスティン」(写真:米海軍)

 3月23日、アメリカ海軍イージスBMD駆逐艦マスティンが南シナ海南沙諸島の中国人工島周辺海域で「公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」を実施した。トランプ政権下で6回目の南シナ海でのFONOPであり、オバマ政権下が2015年10月から開始して以降10回目となった。

 この2年半の間にFONOPは断続的に実施されている。だが、中国による南沙諸島の7つの人工島ならびに軍事施設を含む各種施設の建設は完成に近づき、人工島を中心とする軍事拠点化も着実に強化されているのが現状だ。

中国は強く抗議

 今回、アメリカ海軍マスティンがFONOPを実施したのは、南沙諸島中国人工島の1つであるミスチーフ礁の周辺海域である。海軍情報筋によると、マスティンはミスチーフ礁沿岸から12海里内の海域を通航したという。

 ミスチーフ礁など7つの中国人工島を含む南沙諸島は中国固有の領土であるとの立場を取っている中国当局は、米側のFONOPに対して「アメリカが中国当局の許可を得ずに南沙諸島周辺海域に繰り返して軍艦を派遣するのは、中国の主権と安全保障を著しく傷つける行為であり、国際関係の基本的決まりをも踏みにじっているだけでなく、南シナ海の平和と安定を損なうものである」と、強い抗議の声明を発している。

 そして、中国海軍はミサイルフリゲート「黄山」と対潜コルベット「六盤水」を派遣して米海軍駆逐艦「マスティン」を追い払ったと主張すると同時に、「アメリカ海軍による違法なFONOPは、単なる軍事的挑発行動にすぎず、中国によるさらなる主権と安全保障を防衛するための軍備を充実させ、南シナ海での防衛能力を強化させるという結果をもたらす」と警告している。

中国海軍フリゲート「黄山」(写真:海上自衛隊)