トランプ政権が発足して2週間を経た2月初旬、シンガポールを拠点にしているアメリカ海軍の沿海域戦闘艦「コロナド」が、南シナ海で訓練航海を実施した。
それに引き続いて、アメリカ海軍攻撃原子力潜水艦「ルイズビル」がフィリピンのスービック軍港に寄港した(スービック軍港は、かつてアメリカ海軍が本拠地にしていた軍港で、米軍が再びフィリピンに展開する際には中心的拠点となる)。もちろん攻撃原潜の行動内容は極秘であるが、「ルイズビル」が南シナ海でパトロールを実施していることは明らかだ。
そして先週土曜日、アメリカ海軍原子力空母「カール・ビンソン」とイージス駆逐艦「ウェイン・E・マイヤー」が南シナ海で「定型的」(公式には「特定国をターゲットにしていない」という慣用語)なパトロールを開始した。
スカボロー礁が軍事拠点化へ
空母「カール・ビンソン」が南シナ海へ姿を見せる数日前、すなわちハワイ沖に続いてグアム沖で南シナ海でのパトロールに備える訓練航海を実施している頃、フィリピン国防当局は「スカボロー礁で中国による軍事拠点化の動きが確認されている」との談話を発表した。
スカボロー礁はルソン島沿岸から230キロメートル程度しか離れていない。そこに中国の前進軍事拠点が設置された場合、「ファイアリークロス礁の軍事基地が突きつける脅威の比ではない極めて深刻な軍事脅威になる」とフィリピン国防長官は大きな危惧を示している。