トランプ次期大統領が国務長官候補に前モービルエクソンCEOのレックス・ティラーソン氏を指名した。1月11日、そのティラーソン氏に対する指名承認公聴会が、アメリカ連邦議会上院外交委員会で開かれた。
公聴会では、尖閣諸島に中国が侵攻してきた場合の対処方針についての質疑もなされた。
ティラーソン次期国務長官は、「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲であるため、アメリカは条約の規定に従って対処する」と述べた。共和党政権・民主党政権を問わず伝統的にアメリカ外交当局高官が表明してきた通りの発言である。
アメリカ当局の伝統的な模範解答
日本政府や多くのメディアは、アメリカ政府高官が尖閣問題について言及すると一喜一憂するのが常である。今回もその例に漏れず、主要メディアはこぞってティラーソン氏の“尖閣発言”を取り上げていた。
それらの記事の中には「指名公聴会で次期国務長官が尖閣防衛を確約」といった内容のものまであった。だが、これぞトランプ次期大統領が口にした“フェイクニュース”に類する報道姿勢とみなさざるを得ない。
このような見出しの文言から多くの日本国民が受ける印象は、「アメリカは尖閣諸島を防衛する義務を負っており、万が一にも中国が尖閣諸島へ侵攻してきた際にはアメリカが防衛義務を果たすことを次期国務長官は確約した」ということになる。