南シナ海、そしてインド洋方面に長期にわたって展開中の海上自衛隊のヘリコプター空母「いずも」が、先週、ASEAN諸国の若手将校を乗艦させて南シナ海を航海した。
中国が一方的に「主権的海域」と主張している九段線内海域へは乗り入れなかったようではあるが、中国による軍事的コントロール態勢が強化されつつある南シナ海情勢を睨んで、日本とASEAN諸国との協力関係を少しでも促進するための努力として大いに評価されるべき軍艦の運用であった。
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揺れ動くトランプ大統領の対中姿勢
中国による南シナ海の覇権確保政策に対して、これまでアメリカは軍事的威嚇を含んだ強圧的な対抗策を実施してこなかった。本コラムでも繰り返し触れてきたように、中国に対して融和的であったオバマ政権時代に中国による南シナ海支配態勢は飛躍的に進展し、もはや戦争以外に突き崩すことができない状態に立ち至っている(公に口にされることはないが、国際常識になっていると言ってよい)。