金正恩氏「文氏は睡眠妨害されずに済む」 ミサイル発射自粛で

北朝鮮・平壌で韓国特使団の団長である鄭義溶氏(中央)と握手を交わす、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信提供(2018年3月5日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / KCNA VIA KNS〔AFPBB News

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が1月1日、平昌冬季五輪への参加に前向きな意向を示し、対話姿勢に転じて以来、わずか2カ月余りで南北首脳会談、米朝首脳会談の開催が立て続けに決まった。

 北朝鮮は、国際社会の警告を無視して核実験やミサイル発射を強行してきた。新型弾道ミサイル「火星15」型の発射成功を発表した2017年11月29日の声明の中で、金委員長は、米国本土全域が攻撃可能だと主張し、「核武力完成」を宣言した。

 その金委員長は、韓国の文在寅大統領の特使団に対して、北朝鮮への軍事的脅威が解消されて体制が保証されれば、「核を保有する理由がない」との考えを明言し、非核化や関係改善に向けて米国と「虚心坦懐に対話する用意がある」とした。

サイコパスはハイリスク・ハイリターンを好む

 そのうえで、米朝対話が継続する間は新たな核実験や弾道ミサイル発射などの軍事挑発をやめる方針を明確にした。また、韓国側に軍事行動を起こさないことも確約した。

 金委員長があれほど強硬な態度を転換した理由について、経済制裁が功を奏したとする「見立て」が一般的だが、ほかにも米軍の武力攻撃を恐れた(辺真一氏)、中国の北朝鮮への軍事介入を恐れた(寺島実郎氏)などの見立てがある。

 どの見立てが当たっているかは金委員長本人に聞かなければ分からないが、いずれの見立ても大きな間違いを起こしていることを筆者は指摘したい。

 それは、いずれの見立ても金委員長が何かを恐れて態度を転換したとしていることである。

 経済制裁が功を奏したという見立てにしても、つまるところ経済制裁を受け困窮した民衆や軍部の反乱・抵抗を金委員長が恐れているということであろう。

 ちなみに筆者の見立ては、何かを恐れて受動的に態度を転換したのでなく、核保有国としての立場を背景に親北文政権との南北関係の改善および外交での実績を渇望する米ドナルド・トランプ政権との米朝関係の正常化交渉の好機と見て、能動的に態度を転換した、というものである。

 脳科学者の中野信子氏の著書『サイコパス』には、「サイコパスには、感情を伴う共感はない、恐怖・不安を感じにくい、ハイリスク・ハイリターンを好む」などのサイコパスの特徴が記載されている。