台湾での日米台安全保障対話
私は、3月7日から12日まで、台湾シンクタンク(TTT)が主催する「日米台安全保障対話」に招待され参加した。
テーマは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」と「台湾の防衛」であったが、改めて認識したのは中華人民共和国(=中国)の脅威であり、台湾防衛の難しさであり、共産党一党独裁の中国の脅威に対し日米台などの民主主義国家が一致団結していかに対処するか、その具体策の必要性であった。
本稿においては、強大化する中国に対処し、民主主義などの基本的な価値観を擁護するための対中国包囲網の構築を提案する。
この対中包囲網は、対中封じ込めが目的ではない。中国の国力は封じ込めが可能なレベルをはるかに超えていて、封じ込めは現実的ではない。
しかし、民主主義国家の包囲網を構築することにより、何とか世界一の強国を目指す中国の覇権主義的な行動を抑止しようとするものだ。
習近平主席の野望
●世界一の強国を目指す習近平氏
中国の憲法が改正され、国家主席の2期10年という制限が撤廃され、習近平氏は国家主席としての2期目が終了する2023年以降も国家の最高指導者として君臨することが可能になった。
この憲法改正の軍事的な意味について考えてみたい。
図1は、習近平氏が2017年の第19回党大会で宣言した内容を中心にして「中国の三段階発展戦略」を説明している。
まず、2020年までを第1段階として「軍の機械化と情報化を実現」し、2020年から2035年までを第2段階として「国防と人民解放軍(PLA)の現代化を実現」し、2035年から2050年までを第3段階として「総合国力と国際的影響力において世界の先頭に立つ社会主義現代化強国」を実現することが目標である。
なお、政治的には中国共産党の建党100周年の2021年及び中華人民共和国の建国100周年の2049年が節目の年となる。
図1「中国の三段階発展戦略」