第2に、好きな仕事ができることでモチベーションが上がる。

 日本企業ではとくに事務系の場合、学生時代の専門や本人の希望とは関係なく配属されるので、自分の望む仕事、得意な仕事に就けないことが多い。そして、仮に仕事が好きになっても数年たてば別の部署に配属されるので、1つの分野で専門性を高めることができない。その点、「社内副業」という範囲でなら好きな仕事を継続することができる。

 第3に、それが人事異動への適応力を高める。

 ふだんから本務以外に視野を広げておけば、いきなり他部署へ異動になっても面食らうことが少ない。とくに「副業」として部署横断的なテーマを経験しておけば、予備知識も備わる。また人事部としても、「副業」を通してその社員の関心や適性を知ることができ、適材適所の異動がしやすくなる。もしかすると、「社内FA(フリーエージェント)」制度などと結びつけられるかもしれない。

 このように「社内副業」は職場の隠れたムダを減らし、空いた時間を有効に活用できるだけでなく、日本企業の弱点を補うさまざまな効果も期待できる。

 さらに、定期的に社員による発表会を開いたり、「社内副業大賞」のような表彰を行ったりするのも面白い。それがまた社内の活性化や開かれた風土づくりに役立つだろう。