研修講師でよみがえった元窓際族
定年まで残すところ数年となり、役職からも外されてくすぶっていた「窓際族」の社員に研修の講師をさせたら見違えるように生気を取り戻したという。若手社員の相談相手、アドバイザーの役割を与えたら張り切って仕事をするようになった例もある。彼らの口からは、「若い人たちから感謝され、会社の役に立てることが何より励みになる」という声が聞かれる。
人間には他人や周囲から認められたいという承認欲求がある。承認欲求は、注目してほしい、実力を認めてほしいといった願望になって表れる場合もあれば、職場や社会の一員として役立っていることを評価してほしいという気持ちとなって表れる場合もある(拙著『承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?』東洋経済新報社)。
前回述べたように若者は活躍の場を与えてほしい、自分に注目してほしい、というように積極的な承認を求める傾向が強い。それに対して中高年はもっと控えめな承認、すなわち自分の存在や周囲の役に立っていることを認めてほしいという意識が強い。子どもの通学を見守るボランティアや、地域の防犯・防災活動に参加しようとする人が多いことからも、彼らがいかに役立ちたい、そして消極的な形でよいから認められ、自分の存在感を確認したいと思っているかがうかがえる。